「一人っ子」に伸びしろあり なのに「親たちがハマりやすい罠」を子育て専門家が解説

進(jin)学塾『VAMOS』代表・富永雄輔(fu)さん×教育(yu)ジャーナリスト・加藤(teng)紀子さん対談 #1 一(yi)人っ子の伸ばし方について

左/教育ジャーナリスト・加藤紀子さん、右/進学塾『VAMOS』代表・富永雄輔さん。多くの家庭とその子どもたちを見てきたお2人は、一人っ子家庭の子育てをどう見ているのでしょうか。

現在、一人っ子の割合は約2割(※2021年社会保障・人口問題基本調査より)となっています。

一人っ子といえば、「マイペース」、「わがまま」、「勝負に弱い」など、ネガティブなイメージがいまだに持たれることがありますが、著書『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)が話題を集めている進学塾『VAMOS』代表・富永雄輔さんは、「一人っ子は伸びしろがある」と言います。それはどんな伸びしろなのでしょうか?

そこで今回、教育分野を中心に、数多くの取材を重ねてきた教育ジャーナリスト・加藤紀子さんと富永さんに、一人っ子の子育てについて対談していただきました。

1回目は、一人っ子の特徴や伸ばし方、そして親が子育て中に陥りがちな落とし穴などをお話しいただきます。

(全3回の1回目)

親のかかわり次第で一人っ子はいくらでも伸びる!

──まず、富永さんが一人っ子の特徴に気づかれたのは、どんなことがきっかけだったのでしょうか?

富永雄輔(fu)さん(以下、富永さん):「うちの塾は一人っ子が多いな」と気づいたときがあったんです。そこから一人っ子を意識するようになっていきました。

というのも、うちの塾には、常に4割~5割弱ぐらい一人っ子が在籍していて。国の調査の数字よりもかなり多いですよね。

僕が何百組もの一人っ子の親子たちを見てきて思うことは、個人差はあるにしても、子どもが一人なので、教育費がかけやすいということ。そして、親も時間的に余裕が取れるため、融通が効きやすい。そのため、子どもに手をかけられる時間が多く取れるということです。

僕から見たらポジティブな点が多いんですけど、一人っ子にはいまだにネガティブなイメージが付きまとってはいますよね。

富永さんは塾を通して、多くの一人っ子のご家庭をみてこられました。

加(jia)藤紀子さん(以下加(jia)藤さん):一般的に一人っ子は、1人の時間が多いから、マイペースと言われがちですよね。

富永さん:そう、マイペースとか、わがままとかね。でも、一人っ子の中でも、いわゆる「ステレオタイプ」の一人っ子がそうであって、そうでない子もいますよね。

あと僕の印象では、一人っ子の子は、小さいころからいろいろな習いごとをしていて、さまざまな体験をしている子が多いですね。だから今の一人っ子は、いろんな子がいると言えますよ。

加藤さん:環境や、親の特徴との掛け合わせによる、ということですね。

富永さん:そうですね。子育ての自由度が高いというか。多子家(jia)(jia)庭は、どうしても気がつかないうちに制限(xian)がかかったなかでの子育てになる場合がありますが、一(yi)人っ子の家(jia)(jia)庭にはそれがあまりないですよね。そこが一(yi)番大きな特徴(zheng)かなと思います。

加藤さんは教育分野を中心に、精力的な取材・執筆活動をされています。プライベートでは、一男・一女のお母さんでもあります。

加藤さん:富永さんの著書『ひとりっ子の学力の伸ばし方』に書かれていた、“レッドカーペット状態”ですね。

富永(yong)さん:そうですね。子どもをどれだけ厳(yan)しい環(huan)境に置いたとしても、その状態(tai)に置くために「お金(jin)」をかけているので、精神的(de)にも経済的(de)にもレッドカーペットの上にいるような状態(tai)を作っていることを、まずは一(yi)人っ子の親御さんはしっかり自覚しておかないといけないですね。

現代の一人っ子は経験不足ではない⁉

加藤さん:一人っ子は、「きょうだい」という社会がないゆえに、分け合ったり、話し合ったりというような経験が不足するという意見もありますが。

富(fu)永(yong)さん:首都圏の一人(ren)(ren)っ子に絞(jiao)ってお話しすると、確かにかかわっている親族の人(ren)(ren)数は明らかに少ないです。ただ、逆に親御(yu)さんたちはそれをわかっているからか、子どもへは経験をたくさんさせているように思(si)(si)います。特に、最近(jin)の習い事(shi)は、社会生活を教えることがベースにあるので、「一人(ren)(ren)っ子=経験不足」というのは、現(xian)在ではまったく当てはまらないと思(si)(si)いますね。

一人っ子が弱みではなく親の弱み

──こうしてお話を聞いていると、一人っ子の弱みが特に見当たりませんね。
   
富永さん:もし弱みがあるとするなら、子どもというより、親だと思いますね。

きょうだいがいると、子ども同士を比べてみて、それぞれに違う長所を見つけられたりもしますが、1人しかいないと、比較対象がいない。それに、親の与えた経験がその子のすべてになってくる場合もある。そうなると、親御さんが子育て中、負のスパイラルに入ったときに、うまく抜けられなくなっちゃうんです。

加藤さん:そう、自分の子育ての理想と、どうしても比べてしまうときってありますよね。一般化した理想に、子どもを当てはめてしまうというか。子どものことをすごく大事にして、将来のことを考えているけど、実は目の前の子どものことを見ていなかったり。

富永さん:まさにそのとおりで、そうなると本来は子育てなのに、伝え方などが「部下の育て方」のようになってしまうんです。

会社での部下はどんなに若くても22~23歳ですけれど、子どもはまだ10歳やそこらですよね。そこを考慮せずに理想を突き詰めると危険な状態(tai)になるんですよ。

「親御さんたちは、考え方のアップデートが必要です」(富永さん)

富永さん:あと僕がよく保護者の方にお話しするのは、子育てをするときに、「縦じゃなくて横」で見たほうがいいということです。縦というのは「時代」を意味します。「私のころはこうだった」というのは意味がないんですよ。

僕が携わっているサッカーをはじめ、スポーツの世界は今、「縦」批判がすごくて、𠮟ることも体罰も、練習量が多いのも全部駄目で、急速にアップデートが進んでいます。でもなぜか勉強は40年前のやり方や価値観から変わっていないんですよ。いまだに「勉強した量」が重視されています。

それは、成功した人たちがそれで良かったと思いすぎている部分があるからで、特に親世代の成功した方法が、ストレートに子どもたちへと降りてきているんですよね。

「そもそも、20年(nian)前(qian)はスマホもないし、環境(jing)が違う。メンタリティも違うでしょ」ということに気づかないといけない。保護者世代は考え方をアップデートしないといけないんじゃないかなと思いますね。

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