「2020年代のプリキュアはZ世代の“メタバース”や“水色界隈”の影響が」「日本のファッション誌の革命児」軍地彩弓が語るプリキュア20年

クリエイティブ・ディレクター軍地彩(cai)弓が語るプリキュアと日本(ben)のファッションの20年「2020年代~」編

ライター:小川 聖子

写真:須藤秀之

プリキュア×ファッション年表! 『2020年代』

毎年新たに登場するプリキュアには、その時代の憧れの女の子像が反映されています。

プリキュア誕生20周年作品『ひろがるスカイ!プリキュア』のキャラクターデザインは、現代の価値観をどのように反映しているのでしょうか。

30年以上にわたり『ViVi』や『GLAMOROUS』『VOUGE JAPAN』、『Numéro TOKYO』など数々の雑誌に携わり、現在はテレビ等で多数活躍されている軍地彩弓さんに「プリキュアシリーズ」とファッションについてインタビューしました。

後編では2020年代のプリキュアについて、お話を伺います。

2020年代は「メタバース」や「水色界隈」の影響が

──『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(’21)は、使われる色が淡く、グラデーションの表現が目を惹きますね。

軍(jun)地彩弓さん(以下(xia)敬(jing)称略(lve)):デジタル世代の話をしましたが、Z世代(1996年~2012年生まれ)やその下のα世代の女の子たちの間には「水色界隈」というファッションジャンルがあるんです。

女の子らしいとされるピンクではなく、水色や白を基調としたファッションで、グラデーションや近未来的な雰囲気を含みます。

VR(仮想現実)やメタバース(インターネット上の仮想空間)など「仮想空間」に影響を受けていることも特徴ですが、キュアラメールからは、まさにこの「水色界隈」のイメージを感じました。
──Z世代以降の世代は、現実と仮想現実をあまり区別しないという話も聞きます。

軍地(di):確かにそうです。話が少し戻りますが、2010年代の前半には、アイドルやファッションをモチーフとした「アイカツ!」というアーケードゲームや「ポケコロ」という着せ替えゲームが流行しました。

「アバターを使って、仮想空間で着せ替え遊びをする」というゲームの大ヒットは、その後の「メタバース」の拡大を支えていったように思います。

メタバースでは、自身の分身である「アバター」を自由に動かせます。

性別も、年齢も、顔の特徴も、すべてを自由に選ぶことができるアバターなら、リアルではできないファッションや髪型も可能。さらにその姿のまま現実世界と同じような活動を行うことができます。

そうなると「自分の幸せは、現実世界ではなく、メタバースにある」と考える人も出てきますし、自由で平等なメタバースに現実を近づけようとする人も出てきます。

若い世代の間で「ゆめかわいい」という言葉が使われましたが、ヴァーチャルの世界がどんどんリアルな世界に広がっていると感じますね。

今、憧れられるヒロインは強くパワフルな女の子!

──2023年はプリキュア誕生(sheng)20周年。『ひろがるスカイ!プリキュア』で、メインキャラクターのイメージカラーが初(chu)めてブルー系になりました。

軍地:まさに「今」、という感じ。ジェンダーレスと言うと難しいですが、「女の子は必ずしもピンクを選ばなくていい」という価値観が自然に伝わりますし、パワフルな女の子が思う存分力を発揮し、世界を変えていく姿が時代に合っていますね。

レギュラー初の男子プリキュア、キュアウィングはカラーリングもいいですね。グラデーションについては先にも話しましたが、最近の子たちは、ファッションもマインドも白黒つけたがらない傾向があるんです。

協調性やニュアンスでものごとを解決する……よく言えば平和主義。ファッションにおいても中間色であいまいにしていくのが特徴です。

キュアバタフライには、「Y2K」や韓国ファッションの影響が見られ、自由で自立した女の子への憧れを感じます。

プリキュアは、いわば理想の自分へと変身した姿。「変身」が自分を肯定し、笑顔になれる方法であると示し、長年女の子を励まし続けてきたことが、プリキュア作品の素晴らしさだと思います。
用語解説

Y2K:2000年ごろに流行したファッション。

※デジタル世代、Z世代、α世代などの生年区分には諸説あります。
発売日:2023年10月31日発売
価格:2420円(税込)/講談社
軍地彩弓(ぐんじさゆみ)

講談社「ViVi」編集部でフリーライターとして活躍したのち、同社「GLAMOROUS」の創刊に尽力。その後クリエイティブ・ディレクターとしてコンデナスト社「VOGUE girl」の創刊と運営に携わる。現在、株式会社gumi-gumi代表取締役を務める。
おがわ せいこ

小川 聖子

Seiko Ogawa

東京(jing)都(dou)出(chu)身。アパレル系企業に勤務(wu)したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物(wu)インタビュー、読み物(wu)記事の構成...

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